7/4~7/5にかけて、久々に天体撮影に行ってきました。北関東では夏の晴れ間はとても貴重です。梅雨の時期を過ぎれば、秋の終わりまで夜間一回も晴れないこともざらにあります。正直、勘弁してほしいものです。
夏の時期といえば、天の川銀河の中心方向を写すチャンス。メジャーな天体が多くあります。今回は架台2つで2対象を撮影してきました。「北アメリカ星雲(NGC7000)とペリカン星雲(IC5067-70)」と「わし星雲(M16)」です。今回は前者について掲載。
撮影条件、画像処理内容は以下の通りです。
・使用機材
鏡筒:FSQ-85EDP(QE0.73レデューサー) 328㎜ F3.9
架台:ビクセン SXD2(リミテッド)
カメラ:ASI2600MC Pro ゲイン100 -10℃ 300s/枚
ガイド鏡:ミニガイドスコープ 30F4
ガイドカメラ:ASI385MC
フィルター:無し(ASI2600MC Proに付属のUV-IRカットフィルター使用)
その他:ASIAIR Pro
ZWO EAF
・画像処理
ライトフレーム:48枚
ダークフレーム:30枚
フラットフレーム:無し(ステライメージの周辺減光補正で対応)
処理手順:
PixinsightでWBPP→STF→BXT(Auto)→PCC→STF→HT
ステライメージ8(SI8)で周辺減光処理
Pixinsightに戻ってCS→SCNR→TGVD
Affinity Photoで色合いや明るさを微調整
結構きれいに写せたように思います(北アメリカ星雲が若干青く見えるくらいに調整するのが個人的なこだわり)。
この領域は似たような構図で過去にも撮った気がするのですが、今回初めてペリカン星雲の右下に青色の構造が僅かに写りました。形状的にゴーストではないように見えるので、酸素の輝線星雲か、反射星雲か……。露光時間をさらに伸ばせばもっとはっきりしそうな気がします。
それにしてもBXTの効果は素晴らしいですね。この領域は微恒星が多く、普通に処理すると星がかなりうるさくなります。それが正しい姿だと言われればそうかもしれないですが、自分は星雲のうねうねもくもくが好きなので理由がなければ星は小さめにしたいと思っています。
BXTはその願いを容易に叶えてくれます。実際はメリットだけではなくて、リスク*1を伴う処理でもあることがわかっているので過信は禁物ですが……。今後もうまく使っていきたいですね。
一方で残念なのは、元の画像が非常に重いので画質を落とさないとアップロードできなかったことと、フラットフレームを撮る時間がなく手動の処理で対応せざるを得なかったことですかね……。特に後者のせいで画像処理の手順がめちゃくちゃになってしまいました。
多くの人はフラットはフラットジェネレーターを使って撮影していると思いますが、私は失敗しづらいスカイフラット*2を使用します。なので曇りの夜にでも撮影に出てフラットを取り直せばよかったのですが、撮影前にQE0.73レデューサーを売ってしまい、フラットは二度と入手できなくなってしまいました。
まぁ……、仕方ないよね!(開き直り)
周辺減光への対応は、当初はPixinsightのABEを使うつもりでした。しかしABEを使うとどうしても画像外周の彩度が落ちてしまい、あまりうまくいかなかったのでSI8で行いました。手わざなので正しい輝度分布になっていない可能性もありますが……やむをえませんでした。
とまぁ、こんな感じで失敗や悩むことも多い撮影になってしまいましたが、結果的にはそれなりのものが出来上がったのでひとまずは満足です。
わし星雲(M16)については、次回の記事で記載します。
2024年9月9日追記
画像にPixinsightでannotationをつけてみました。
こうするとどこに何が写っているのかよく分かりますね。北アメリカ星雲の中に2つもNGCナンバーの天体があるとは知りませんでした。StellariumによるとNGC6997は散開星団、NGC6996はアソシエーションというものみたいです。アソシエーション……初耳()。
ちなみに画像右下の青色の星雲らしきものが写ってるあたりはIC5068みたいです。日本での注目度は低いようで、検索してもあまり作例が出てきません。出てきたとしてもハッブルパレットの画像なのですが、どうもこの形状のOⅢ領域があるのは正しそうな感じです。ゴーストではなさそうなのでほっとしました(笑)