星見用の忘備録

主に天体撮影に関する忘備録です。撮った条件とか、画像処理条件とか、トラブルについて忘れないように。

ASIAIR Proでのキャリブレーション不良

昨日は台風の影響か久しぶりに晴れたので、撮影に行ってきました。とはいえ体調があまり良くなかったので、近場かつ1対象のみの撮影です。その際にASIAIR Proでトラブルがあったので、現段階でわかっていることを記録します。

 

 

・発生した問題

ASIAIR Proを使用しオートガイドを実行しようとしたところ、キャリブレーションが失敗するという現象が確認されました。オートガイド画面へ移動→過去のキャリブレーション情報を消去→露出開始(2秒)→ガイド開始→キャリブレーション開始と進めましたが、キャリブレーション中に「星の動きが不十分だったためキャリブレーションを完了できませんでした」というウィンドウが出てキャリブレーションが中断されるというものでした。
ホットピクセルを星と誤認した可能性を考え、オートガイド画面を見ながらガイド鏡を遮り、光が消えた点を基準星に指定してキャリブレーションをしましたが、それでもエラーは解消されませんでした。

他、ガイド鏡のピントを合わせなおしたり、システムを再起動したりもしましたが、エラーは解消されませんでした。

装置構成は7/4に撮影を行ったときから変えていなかったため、過去のキャリブレーション情報を使用して追尾ができるかも試しましたが、追尾を開始するとDECは補正されるのに対してRAは補正されずズレが拡大していってしまい、試しにフリップをして様子を見ると今度はRAは補正されるのにDECが補正されない、という動作をしていました。

 

・装置構成

鏡筒:FSQ-85EDP(QB0.73レデューサー) 328㎜ F3.9

架台:ビクセン SXD2(リミテッド)

カメラ:ASI2600MC Pro

ガイド鏡:ミニガイドスコープ 30F4 

ガイドカメラ:ASI385MC

フィルター:CBP(ASI2600MC Proに付属のUV-IRカットフィルター併用)

その他:ASIAIR Pro(2.2.2(11.30))

    ZWO EAF

 

・解決法

あれこれ弄っている際に、撮影直前にASIAIR Proのファームウェアをアップデートしたことを思い出しました。ASIAIRは基本的にファームを戻すことはできないので頭を悩ませましたが、予備で買ったASIAIR Proがあることを思い出しました。予備の方はファームをアップデートしていなかったので、古いファームでキャリブレーションができるかを確認しました。

最新のファーム:2.2.2(11.30)

予備ASIAIR Proのファーム2.2.2(11.08)

 

結果として、予備のASIAIR Proでは問題なくキャリブレーションを行うことができました。この結果だけ見れば、最新のファームウェアに問題があると言えそうです。

 

・問題の原因予想

不思議なのは、キャリブレーション時の信号はASIAIR Proからスターブック10へ適切に送られている(とみられる)点です。スターブック10使用時にASIAIRでキャリブレーションを行うと、追尾誤差測定のためにASIAIRから赤道儀にRAまたはDEC方向に一定量動くように信号が出ます。その信号に合わせてスターブック10の矢印が赤く光り、赤道儀が一定量動きます。最新ファームのASIAIRでもスターブック10の矢印は光っていたため、ASIAIRからの信号をスターブック10が受信していることは間違いなさそうです。

このことから問題点は

 

〇ASIAIR→スターブック10の通信はできていているのに赤道儀が動いていない、

赤道儀が動いていてもその変化量をASIAIRが読み取っていない

 

いずれかだと考えています。過去のキャリブレーション情報を使用して追尾を試した際には、星は認識するもののRA・DECの一方に補正がかからないという挙動をしていたため、赤道儀がASIAIRの信号を拾えていないような印象があります。

 

これが全面的に最新ファームウェアが悪いのか、最新ファームと装置構成の相性の問題なのかは現状不明です。ただ国内・海外問わず同様のエラー報告があまりみられないことや、前回の記事(ASIAIR使用時のトラブルについて - 星見用の忘備録)でも書いたとおり、ASIAIRとビクセン赤道儀(スターブック10)の相性はあまり良くなさそうという実体験もあるので、装置構成を変えてテストをしてみたいと思っています。

 

ASIAIR、うまく動けば便利ですが、なかなか一筋縄ではいかない装置ですね(´・ω・`)